香港の民主派(反中国)系新聞『蘋果日報(リンゴ日報)』が6月24日の朝刊を最後に雨中の香港人に別れを告げた。

ロイター=共同

ロイター=共同

中国共産党による香港の「一国二制度」を形骸化させる圧力に、言論の自由で対抗した唯一の大衆紙もついに中国共産党に屈し香港から言論の自由が潰(つい)えた。
1995年創刊のリンゴ日報は、創刊当時は芸能ゴシップやスキャンダルを中心に販売部数を伸ばしてきたが、1997年の香港返還をきっかけに中国政府への批判を繰り返し、2014年の香港反政府デモ(雨傘運動)では民主化デモ隊を支持するとともに反中国・反共産党の姿勢を明確にし、民主化を求める多くの香港人から支持されてきた日刊紙であった。
しかし香港基本法を超える形で制定された悪法「香港国家安全維持法(国安法)」により、反政府とみなされたリンゴ日報は度重なる嫌がらせや創業者や編集幹部らの逮捕、資金凍結などによりついに廃刊に追い込まれた。
この報道を受けて各国は民主主義とジャーナリズムへの冒涜と非難した。
日本のジャーナリズムも「断じて許されぬ言論圧殺」と報じ、連日新聞報道で批判していたのだが、日本政府はまたもや中国を忖度してか「重大な懸念を持っている」と馬鹿の一つ覚えのような文言を発表するにとどまった。
 一衣帯水と呼ばれる隣国との経済的関係性を考えれば無難な見解発表と思われるが、香港国家安全維持法の最も非難されるべき点は言論の自由を踏みにじり、民主化を要求する香港人の人権までも侵害する暴挙に、日本政府は懸念ではなく断固反対すべき姿勢をとるべきであった。
 外務大臣はまぬけにも新約聖書を引用し「初めに言葉があった。言葉は神と共にあった。言葉は神であった」と言語も意味も不明な発言をしている。これなら「言語明瞭 意味不明」と言われた竹下登元首相のほうがマシだ。

 香港から言論の自由がついえた翌週の今月1日、中国共産党は『中国共産党創立100周年記念式典』を北京天安門で7万人の党員を集めて大々的に開催した。総書記である習近平は仏頂面に毛沢東ばりの人民服(中国では中山装と呼ぶ)に実を包み、70年前の1949年に毛沢東が天安門楼上で中華人民共和国建国を宣言した時と同じように「偉大」を連呼し共産党一党独裁を絶賛し、軍事力増強、国家の発展、台湾統一などと唐人の寝言を1時間以上に渡り演説していた。
 共産党を称える歌や踊り、共産党創立に至るまでの小芝居、総書記の「偉大な」に応じて国旗を振る党員たち。
それはまるで赤い毛沢東語録を手にした紅衛兵が知識人を凶弾する「文化大革命」の時代に戻ったかの様な光景だ。唯一違ったのは映像がカラーかモノクロームだけ。

 香港人民と共に美しく戦い美しく終わった蘋果日報がいままだ続いていたならば、おそらく翌2日の朝刊一面はモノクロームの紅衛兵の写真が飾っていただろう。
大見出しは『100年目の時代錯誤』としておこう。