ストップ・ザ・ 海洋汚染

遠州灘に広がる南遠大砂丘は日本三大砂丘と言われる太平洋側最大の砂丘で、今の時期(5~6月)は朝顔に似た「ハマヒルガオ(浜昼顔)」が砂丘に群生し、空と海の間で美しい花を咲かせています。

ハマヒルガオが咲く砂丘

zハマヒルガオが咲く砂丘

貝と砂浜

貝と砂浜

あるべき姿の海岸

あるべき姿の海岸

 この砂丘は私にとって大切で思い出深い海岸。
児童という名をほしいままにしていた小学校時代は授業をバックレて友達とカニを相手に日なが時間を潰し、優等生がクラスメイトだった中学時代はドラマの主人公ばりに夕日に向かって訳もなく走り、走りつくしたと思っていた砂丘が高校生になったとたん「砂丘マラソン」と称して強制的に10Kmも走らされた。
そんな美しくも悲しい思い出に縁どられた海岸に先日ウォーキング(私の場合徘徊と呼ばれています)に出かけると・・・。

ゴミが堆積した波打ち際

ゴミが堆積した波打ち際

ゴミの3割を占めるアルミ缶

ゴミの3割を占めるアルミ缶

フィリピンから流れ着いた消毒液

フィリピンから流れ着いた消毒液

中国から流れ着いたペットボトル

中国から流れ着いたペットボトル

劣化ペットボトル

劣化ペットボトル

海が荒れたあととは言え、私の思い出以上に悲しい光景が広がっていた。
流木は問題ない。しかしご覧のとおり大量のアルミ缶(ビールや酎ハイ)やペットボトル、カップ麺の容器、廃タイヤ、ビニール袋などが海岸線を埋め尽くしていたのです。
中には中国のミネラルウオーターブランド「哇哈哈(ワハハ)」やフィリピンで販売される人気の消毒液容器など漂流ゴミも多国籍。
あまりの悲しさに思わず八神純子の『思い出は美しすぎて』を口ずさみそうになったが、歌詞が思い出せず断念した。それよりもゴミの多さに閉口してしまったのだ。
政府が取り組む『持続可能な開発目標(SDGs)』の17項目あるうちの

  • つくる責任 つかう責任
  • 海の豊かさを守ろう
  • 陸の豊かさも守ろう

という3つの環境劣化に対する青写真はこの海岸線を見る限り難しいと言わざるを得ない。
漂流物の多くを占めるアルミ缶はスチール缶と違い耐腐食性を持ち長く形を留めます。
ペットボトルは合成樹脂で作られ分解しても土に戻らずマイクロプラスチックとして残り、海洋生物の生態系に影響を与えるばかりか魚を食べる私たちの健康にも影響を及ぼします。
自分ひとりくらいと思って捨てたペットボトルも、1万人が棄てたらものすごい量になります。
ましてや黒潮に乗って南方から漂流するゴミを合わせると恐ろしいことです。
写真のようなゴミの海岸線に囲まれる日本を想像してみてください。見えないところで起こる海洋汚染だから考えないのではなく、もし自分の家が大量のゴミで囲まれたらどう思うかなのです。
私は海岸に打ち上げられたビールやチューハイ缶を見ると、それを楽しく美味しそうに飲んで盛り上がった人たちの顔と様子が目に浮かんできます。
楽しかった思い出はいつまでも心に残り色あせることはありません。しかしその思い出の副産物もいつまでも地球に留まり続け「なくならない」ということを知ってほしいのです。

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