中国教育事情
「明天!」(あしたね!)、「明天見!」(また明日!)
校舎を後にする生徒たちが向かうのは、正門前で我が子や孫を迎える多くの家族。
高級車の送迎もあれば電動バイク、自転車、徒歩迎えなど様々だが、生徒の大半の家族が出迎えている。
日常の登下校風景である。
日本でも保育園・幼稚園ではよく見かける光景だが、生徒が数千人もいる中国の学校で見ると日本人の眼には異常に映る。
先生方との懇親と教育現場視察を兼ねて訪れたここ「蘇州工業園区星港学校」。
公立の小中一貫校で、各学年10クラス、一クラス45人前後というので、(45名×10クラス)×9学年 で在校生とはなんと4,050人。
小学部だけでも2,700人が一斉下校するのだからその出迎え風景は容易に想像できる。学校側は時間差下校を奨励しているようだが、子供たちは我先に校門に向かう。通勤ラッシュは聞いたことがあるが、通学登校下校ラッシュは聞いたことがない。ましてや道路は登下校渋滞が起きるため、中国の学校には必ず守衛が常駐し朝晩は交通整理もする。
先生方との話し合いの際に、親の送迎について質問したところ、反対になぜ日本はしないのかと聞き返されてしまった。
中国では長く「一人っ子政策」があり(昨年改定され条件付きで二人まで可能になった)、親の老後の面倒を見てもらうためにも大事に大事に育てられる。大事にされすぎるあまりわがままが許され、教育的な問題にまでなってるという。
日本の教育現場でもモンスターペアレンツが問題視されているが、中国では日本の比ではないらしい。
「良い中学校入らなければ良い高校に行けない。良い高校に入らなければ良い大学に行けない」と、親も子も重圧の中で暮らしているため、教育現場でも友人との会話の中でも「圧力」(ヤーリー)という中国語が頻繁に聞かれる。日本語に訳すとプレッシャーである。
友人の教員も、自分の生徒の成績で評価されるため、親からの理不尽なクレームで死にそうだと嘆いていた。別の友人は、「自分のDNAを超える期待をしてはいけない。ましてや他人に責任を押しつけるのは筋違い」と笑いながらつぶやいていた。
さすが教員言い得て妙と納得した。
中国も韓国も一昔前の日本同様に学歴社会で、小学生のうちから課題は放課後に済ませ、そのまま塾へ直行する生徒も多いと聞く。カリキュラム自体は日本と比べて英語を重視している以外違いはなく、学校の設備もほとんど同じだ。
私から言わせてもらえば、もう少し道徳の授業を増やした方が良いのではないか・・・と言いたいところだが、人口14億の競争を勝ち抜くためには道徳よりも学力なのだろう。
私が中国の大学に通っていた頃の大学進学率は1%に満たなかったが今や25%(専門含む)とGDP伸び率よりも高い。政府の目標は40%というが、あの人口の子供の4割が進学するとなると一体いくつの大学が必要なのか・・・と、不要な心配をしてしまった。
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