大道芸ワールドカップin静岡

松江から嫁入りした観光和舟

松江から嫁入りした観光和舟


駿府城飲食コーナー

駿府城飲食コーナー


11月1日(金)~4日(月)の4日間、静岡市最大のイベント「細動芸ワールドカップin静岡」が開催された。
 今年は4日間とも天候に恵まれ、来場者数は172万人と発表された。静岡市の人口が70万なので実に人口の倍以上の観客が訪れ静岡市の経済効果に貢献したことになる。

 そこで今日はワールドカップのニュース…は、公式ホームページやYouTubeに任せて、“大道芸とは…”を考えてみたい。

 むかし、大道芸と聞けば最初に思い描くのは猿回しや南京玉すだれ、ガマの油売りやチンドン屋。
時代劇好きなら座頭市によく登場する「ゴゼ」と呼ばれる三味線を担いで全国を回る盲目女芸人も大道芸の一つに数えられ、時代劇では重要な役割になっている。(たまに水戸黄門にも出てくる)
 「見たこともない大イタチ」の看板につられて入場料を払い見てみると、大きな板に血のような染料が塗られていた…大きな板・血=「大イタチ」など笑い話に登場する浅草の見世物小屋も大道芸の一つと言われる。
 海外の職業芸人と違い、日本では大道で卑俗な芸を演じる乞食芸人などと言われ身分が下層級であったが、それが今や芸人には公認制度やライセンスが与えられ、ワールドカップ(と銘打った)が開催されるようになった。収入も観客の投げ銭だけでなく、主催者から出演料をもらい路上パフォーマンスを行っているらしい。
当然芸人も気合を入れアクロバット的な演目や欧米風なジャグリング、クレーンなどを使った曲芸に変わり、今やガマの油売りは筑波山でしか見られず、チンドン屋も名古屋の大須観音商店街くらいしか見ることができない。

今年の大道芸ワールドカップin静岡でも、グランプリはジャグリングや縄跳びパフォーマンスのグループで、ここ数年は観客を魅了する大きなアクションとスピード感がある芸に人気が集中している。
 
ちなみに私は大道芸ならシュールな芸が好きだ。シュールと言っても非日常的・超現実的という意味合いではない。しいて日本語にするならば「バカバカしく、くだらない的」な芸だ。
もちろん大掛かりなパフォーマンスも大道芸の大きな魅力だが、それを見た瞬間だけ驚愕、感嘆するものではなく、見た時には軽蔑しても見終わった後に沸々と笑いがこみ上げるような芸に魅了される。

CLOWN ものまる

CLOWN ものまる


MR BUNBUN

MR BUNBUN


SYO!ジャグリング

SYO!ジャグリング


ブロンズ賞 チャーリー・ケーパー

ブロンズ賞 チャーリー・ケーパー


マジ大道芸人HAMAR

マジ大道芸人HAMAR


今年のワールドカップにもいた。
「I am a pen!」と言って髪の毛に墨汁を含ませ、逆立ちをして観客に支えさせる。自らを筆に見立てて書道をさせるパフォーマーMR BUNBUN。馬鹿々々しいにもほどがある。
一升瓶に乗った状態でジャグリングをし、ハーモニカを拭きながら額に乗せたタンバリンをジャグリングで叩く大道芸人HAMAR。しかも演奏する曲は「メリーさんのヒツジ」。呆れてものが言えない。
しかし…だ。
パフォーマンスとしてみれば確かに後味は悪いが、他の芸と違い尾を引く。
え?なんの尾かって?
何の尾かは問題ではない。タヌキでもキツネいいのだ。
馬鹿々々しい芸を見終わった帰り道、何気に唄っていた鼻歌が「メリーさんのヒツジ」だったような感覚…。
書道をしようと思い(ここ数十年したことはないが)、筆を硯に入れた瞬間に「I am a pen!」と叫んでしまうような感覚…。

お判りになるだろうか?
ガマの油売りも「さてさてお立会い…」の口上を聞いてパフォーマンスを見る。「そんなバカな!」
と思っても最後にはガマの油を買ってしまう。
 チンドン屋の行列に出くわし、面白いと思いつつ後をつけたら最後に行きついたのは宣伝主の店舗だったようなもの。

 たぶんこれでも判らないだろう。
理解出来なくとも心配は不要だ。なぜならばこれを書いている私自身もよくわからない。
大道芸とは奥が深いらしい。