遠州(南遠地区) 秋祭り続々開催
静岡県西部(南遠地区)では10月になると同時に祭囃子の練習の笛や太鼓の音が聞こえ始め、毎週末には必ずどこかの地区で祭りが開催され地域によって特徴ある山車(だし)や屋台(やたい)、祢里(ねり)と呼ばれる彫刻や提灯、花などで飾られた山車・屋台・祢里が練り歩きます。
全国でも有名な山車祭りと言えば京都や飛騨高山、だんじり、川越、秩父などが挙げられますが、そんな多くの観光客が訪れる華やかな祭典とは真逆の田舎の田んぼのあぜ道を練り歩く山車屋台は風情たっぷり。特に提灯の灯りだけで練り歩く夜の引き回しは小さな子どもにとっては少し奇妙なおどろおどろしい一面もあるかもしれません。
山車や屋台などは地域によって違いがあり、東海道線沿いは御殿屋台と呼ばれるような屋根付きが多く、反対に御前崎市(旧浜岡町)から150号線に沿って天竜川(磐田市掛塚)に至るまでの南遠州(南遠地区)は、4月開催の遠州横須賀三熊野神社に代表される一本柱万度型と呼ばれる二輪の花屋台が主流です。
この一本柱万度型の屋台は江戸時代の祭り屋台の原型を残していると言われ、現在では全国でも南遠地区だけに残ると言われるほどで、起源とされる江戸神田祭りや山王祭りではすでに屋台は姿を消していて見ることが出来ません。
そのため東京の神田祭りでは里帰りイベントとしてこの横須賀の屋台が東京駅周辺を練り歩いたこともあります。
江戸時代の姿を失ってしまった祭りが、遠く離れた静岡県南遠地区に今も残っているのは不思議ですね。当時の江戸の町は現在の南遠州地区のように閑静な風景が広がり、夜には提灯の灯りだけで花屋台が練り歩いていたのかと思うとなぜか「風流」を感じるのは私だけでしょうか。
遠州地域の最後を飾るお祭りは11月1日(金)~3日(日)に開催される「遠州の小京都」と呼ばれる遠州森町三島神社の祭礼です。
みなさんも興味があればぜひ一度江戸時代にタイムスリップしてみませんか?