中国の校長先生視察団が来静
中国の北京、重慶、洛陽の小中高一貫校の校長先生5名が、2月16日~20日の予定で来日しました。
17~18日の2日間、静岡に滞在し、玉露の里で抹茶体験をしたり東海大学附属静岡翔洋小学校と中等部を訪問し校長先生との意見交換会や教育現場の視察を行いました。
日本を始めて訪れた中国の校長先生方はまず静岡の文化体験として藤枝市岡部にある「玉露の里」を訪問。
日暮れの早い朝比奈地区でしたが、この日はちょうど月が上り、満開の河津桜と共に得も言えぬ美しい茶室庭園を見ることが出来ました。
茶室「瓢月亭」の名の通り、月が庭の湖面に映る風景に校長先生方も日本の「わび(詫)・さび(寂)」を感じてくれたことと思います。
今回の来日目的は日本の小学校・中学校を訪問し、自校の教育環境を改善するための視察旅行だそうです。
中国の小中高校の生徒は、良い大学、良い会社に入るために、小学校のうちから受験に勝ち抜くための勉強が行われ、そのために生徒は疲弊し教員もまた親たちからのプレッシャーでストレスを抱えているのが実状だそう。
中国でも私学の評価は「生徒がどこの中学校や高校、大学に進学したか」という、プロセスではなく結果で判断されるようです。まるで日本の塾のようですね。
今回視察を受けていただいた東海大学附属翔洋小学校と中等部は、その創始者の意志を受け継いでまず第一に「心(精神)」、第二に「身体(運動)」そしてやっと三番目に「勉強」があることなどを校長先生から説明を受け、中国の先生方も「それは中国ではありえない・・・」と言いながらもしきりに感心していました。
また、通学用の制服と登校した後に体操服に着替えることや、通学用の靴と上履き、体育館シューズの違い、持ち物にはすべて名前を入れるなど中国の学校との違いに興味を示していました。日本では当たり前のことでも国が変われば違うものです。
静岡翔洋小学校・中等部を後にした一行は、新名所・日本平夢テラスで富士山を眺望し、続いてリクエストのあった静岡県立大学を訪問。
2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑(ほんじょ・たすく)先生の大学を見たいとのリクエストに応えて県立大学に訪問を依頼しました。
管理棟に飾られた本庶先生の偉業や経歴、ノーベル賞受賞新聞などを見学した後に医学部の学生たちの教材にもなると言う薬草園を見させていただきました。
薬草園を管理する山本先生から漢方薬の元となる珍しい薬草の説明を受け、漢方の本場中国らしく薬草の中国名や効能など、さすが校長先生と思う博学な知識での質問が出ていました。私も風邪薬の「葛根湯」の主成分の薬草や「杜仲茶」で有名なトチュウの木を初めて見て感動でした。
静岡を離れた校長先生一行は、箱根湯本温泉で温泉と日本の和室「榻榻米(注1)」と和食会席を体験し、東京に戻って国会議事堂など教育施設を見学し5日間の日程を終了します。
今回の視察で先生方の感想を聞いたところ、
「勉強だけが教育ではないことが日本では実践されている」
「中国の生徒にも日本の清潔な環境や静かな校内の様子を見させてあげたい」
「夏の海外研修先に日本も入れたい」
などが聞かれました。
日本の教育現場も国内ではいろいろ言われていますが、世界的な観点からすれば大変優れていると思います。
「勉強だけが教育ではない」
確かにその通りですね。
(注1)※榻榻米は中国語で「ta ta mi」と発音します。日本の畳の音訳です。