中秋の名月 (中秋節)

2022年中秋の名月

2022年中秋の名月


2022年中秋の名月

2022年中秋の名月


今年の中秋節(十五夜・中秋の名月)は9月10日(土)。見事な名月を見せてくれました。
いまの日本では十五夜だからと言ってススキを飾ったり、団子を食べながらお月見をする風習もすっかり廃れてしまいましたが、中秋節の本場中国や中華圏(台湾・シンガポール・ベトナム・タイなど)では今でも正月(春節)と並ぶ一大イベント。中秋節の三連休は「月餅(げっぺい)」を食べながら家族団らんを楽しみます。
中国では8月中旬にもなると街中いたるところに「月餅」が並び、帰省のお土産やご進物として飛ぶように売れます。
満月を模った丸く固いまんじゅうに似た月餅は、地方によって違いはありますが正統派はクルミや棗(なつめ)の実を細かく砕いて餡に練り込んでいます。最近では変わり種も多く販売され「海鮮味月餅」と称して小エビや岩海苔が練り込まれた月餅もありますがこれが実にマズイ!!のです。やっぱり月餅は甘い正統派が一番。
カード

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また台湾の中秋節はなぜか「焼肉パーティー」を開いて家族団らんを楽しみます。理由は諸説あるようですが、どうも1980年代に焼肉のタレを作る企業が出した広告から広まったという説が本当のようです。今年も台湾の友人から「中秋節おめでとう!月下の焼肉パーティー~~!」と楽しそうな写メが来ましたが違和感満載(笑)。
日本のバレンタインしかり、伝統的な行事に「スン」と入り込んでくる企業宣伝に見事に引っかかるのは台湾も日本も似ているのかもしれないですね。

松尾芭蕉は43歳になった江戸で『名月や 池をめぐりて 夜もすがら』と、月のあまりの美しさに見とれていたら夜も明けてしまった・・・と詠みました。
46歳の歳には『名月や 北国日和 さだめなき』と、せっかく北国で名月を楽しみに迎えようと思ったのに天気が悪く見ることが出来なかった、まったく北国の天気は困ったものだ・・・と詠んだようです。
 さすが俳句紀行「おくの細道」で有名な芭蕉なだけに、五七五のたった17文字で情景を浮かび上がらせる名人ですが、明治の歌人・正岡子規も『名月の 今宵に死ぬる 秋の蚊か』と芭蕉に負けず劣らずの名句を残しています。中秋の名月を見ながら団扇で蚊を叩き追い払うことと、蚊の一生の儚さ、名月の下で死ねる羨ましさが入り混じる名句ですね。

今の日本は忙しいだけの社会になってしまい「お月見」をすることを忘れてしまったようです。
年に一度の中秋の名月の夜くらいは庭やベランダに出て夜空を眺めてみるのもいいですよね。
 え?虫が嫌いですって!?お月見はお団子に付いた虫ごと口に放り込むのが醍醐味なのですが(ウソです)。
じゃあ、、、部屋の電気を消して網戸越しに名月眺めて下さい。それだけでもお月見気分になれますよ、なれるかも?なれたらいいね!