観光バス運転手不足(2024年問題)

 夕刊が廃止されてからどうも愛読する「静岡新聞」が面白くなくなった・・・と思っているのは私だけではないはず。
しかし一昨日のトップ記事で久しぶりに身近な社会情勢に切り込んだ「新聞」らしい記事を興味深く読ませてもらった。経済部記者が残業時間の制限される「2024年問題」と絡めて運送業、なかでも深刻な観光バス業界における運転手不足を例に切り込んでいる。
 旅行業を主な柱とする弊社から見てもよく調査された記事だと思う。

8月8日付 静岡新聞1面記事

8月8日付 静岡新聞1面記事

新型コロナが第五類に引き下げられると同時に社会経済は復調の兆しを見せ始め、大打撃を受け青息吐息だった観光業にも光明が見え始めてきた。
しかし・・・秋の旅行シーズンを前に問題になっているのがまさに観光バスドライバー不足。
弊社が取引をする観光バス会社すべてがドライバー不足に直面している。
バスを予約しようと電話しても

「バスは空いているんだけどドライバーがいなくて・・・すみなせん」

「ガイドがみんな辞めてしまっていないんですよ」とガイドさえ断られることがある。

乗務員よりバスの台数の方が多いと営業マンは嘆く。
長引いたコロナの影響で離職した運転手もガイドも戻っていないのだ。むかしは全国各地を飛び回る花形の職業だったが今となっては過去の話。
労働条件(労働と賃金のバランス)は悪くなる一方で、安い基本給+ハンドルを持った時間・距離給では割に合わない。これでは一度離職すると戻らないのは理解できる。

「2024年問題」とは働き方改革関連法によって生じる問題なのだが、確かに労働環境は改善されるだろうが物流ドライバーや観光バス運転手は安い賃金を残業手当で補っているため、時間外労働を制限されると収益は減り一層離職が加速する。これはなにも物流・観光業にとどまらずサービス業全体に言えることだ。
 静岡新聞の記事は深刻化する観光バス運転手不足の現状は報道しているが、当然解決策には言及していない。
我々も観光業界に身を置くものとして切実な問題と受け止めている。