新茶の季節到来!

駿河湾を眼下にする牧之原大茶園と防霜ファン

駿河湾を眼下にする牧之原大茶園と防霜ファン


摘採風景(手前摘採後)

摘採風景(手前摘採後)


お茶の摘み取りが最盛期を迎えている。
春先に暖かい日が続いた影響で一番茶の萌芽が過去最速と、これまでゴールデンウィークに見られた風景が今年はゴールデンウィークにはすでに終わっているという速さだ。

 花粉も黄砂にも反応しない鈍感な身体を持つ私は、毎日牧之原茶園の中を窓全開で車を走らせ通勤している。ただ嗅覚だけは敏感なようで摘採機で刈り取られる茶葉の青臭い匂いや火入される香ばしい匂いは精神衛生上非常に好ましく心地がいい。
 萌黄(もえぎ)色に染まった茶畑の中を時速40Kmでぶっ飛ばすと気分爽快、まるで
茶畑のアイルトンセナにでもなった気分だ。

茶祖 栄西禅師(牧之原公園)

茶祖 栄西禅師(牧之原公園)


乗用摘採機

乗用摘採機

しかし摘採風景を見ていると、問題になっている茶農家の高齢化が顕著に感じられる。写真のような乗用摘採機での摘み取りはまだいいものの、腰の曲がった老夫婦が10Kgの可搬式(手持ち)摘採機を持ち、重い茶刈袋を引きずりながらの作業は見るに忍びない。
牧之原公園に立つ茶祖栄西禅師もしかめ面で農作業を見守っている。
お茶の消費低迷、生産者の減少・高齢化は茶業会全体の問題とはいえ解決策は見つからずますます業態は悪化している。
スイーツや抹茶に活路を見出そうとするお茶屋や飲食店がある一方、生産者はお茶の木を育てる以外になく金額も叩かれる。

先日の静岡茶市場で初取引された最高値茶葉は1Kg120万円。お茶一杯換算するとなんと6千円強だそうだ。この初取引はニュースでも話題になったが、これはもちろん大間のマグロのすしざんまいと同じでご祝儀相場。(ニュースによると大間のマグロよりも単価が高かったそう)
しかしそんな茶葉も日を追うごとに値は下がり、最終的に生産者自身の人件費まで計算すると「赤字」にまで下落するという。
お茶は生産から茶工場での製造工程、茶師によるブレンドなど本当に手間暇かけて作られている。お茶は“タダ”という日本独特の考え方でお茶を一括りせず、お茶の地位向上を目指したいものだ。
 
 栄西禅師もこう言っている(と思う)。
「日本人よ!いいお茶を飲め! 喝ぁ~っ!」と。