素晴らしい施設の残念なミュージアム
先日、静岡県内のとある公設ミュージアムを訪問した。
私自身、興味深いテーマを題材にしたミュージアムであるため期待は大きかった。
オープン時には全国の旅行会社の教育関係部署宛てに「ぜひご来館、ご送客を」と案内状を送ったほどの施設です。
施設は広大な敷地に既存施設を改修して作られたもので規模的には申し分ない。
その上、テーマに沿った個別展示は全国のミュージアムと比較しても遜色ないばかりでなく類を見ないほど充実した内容。いわゆるニッチな展示方法で、変態的な研究者が作る変態的ミュージアムと言える
各フロアに配置された学芸員と呼ばれる説明者(インストラクター)の知識の範囲は広く、私の質問に的確な回答をしてくれた上に、興味ある分野と察するや否や余談にまで及ぶほどの解説をしてくれた。
大学で生物学を専攻するアルバイト解説者に至っては、展示物をさらに詳しく細分化して分子レベルの説明までしてくれたのには驚いた。いわゆる一般受けしないレベルの変態的ニッチ解説はまるで大学の講義を受けているかのよう。
そんな学芸員らのウエルカムに気をよくした私はぜひこの施設をもっと全国に知ってもらいたいと思い、受付の方や学芸員たちに弊社ホームページの旅行情報で紹介したいと告げると「ぜひお願いします!私自身、こうして解説していてもこんなすごい施設があることを以前は知りませんでした。知名度があまりに低いのでぜひ紹介して下さい!」との言葉をもらい、気をよくした私は、施設責任者(行政から出向館長?)に掲載許可を乞うたところ「旅行社であろうが一般の企業が紹介・記事掲載することは許可できません」とのそっけない回答。私は
「血税を使った施設の出向責任者が研究者の熱意も知らずに何を上から目線でアホなこと言っとんじゃ。だから誰も知らん残念な施設なんだ!」とは言うはずもなく引き下がった。(いわゆる大人対応)
と言うわけで名称や写真掲載できませんが「素晴らしい施設の残念なミュージアム」が静岡県には存在します。
ニッチな分野をこよなく愛する人間が愛着を持って研究・展示する施設が、一部の熱意も興味もない「平穏」だけを愛する公僕によって地方に埋もれているのは残念でなりません。
ちなみに私が滞在した約2時間での入館者は私一人。ただひたすらに来館者を待っているスタッフの一日は長いでしょうね…。