牧之原市日中文化交流団
牧之原市長を団長とする牧之原市日中文化交流団33名が、7月1日(月)~4日(木)の日程で中国上海市にて行われた「第7回中日書道展」と「牧之原市静安区文化交流」を目的に訪中しました。
この事業は今から9年前、上海にある小主人報こども新聞学校の修学旅行団が牧之原市を訪れたことがきっかけで始まった交流です。
牧之原市は静岡県の空の玄関、富士山静岡空港の立地市町として国際交流協会や文化協会などと連携し積極的にインバウンド事業に取り組むと同時に、ホストタウン事業として地の利を生かしてアメリカ・中国サーフィンナショナルチームの合宿受入もしています。
今回の訪中はこれまで7年に渡り築き上げ、相互交流として継続している上海長寧区書法協会との書道交流展に出品、開幕式典に参加するために構成され、今回からは書道交流団だけでなく、文化協会の合唱部や空港女性部おもてなしの会の皆さん、牧之原市議会議員の方々も参加する「牧之原市日中文化交流団」として組織されました。
7月1日、富士山静岡空港を飛び立った一行33名は上海浦東空港に降り立ち、最近導入された指紋登録機(10本すべての指紋をとります)に苦戦しながらも無事入国。
現地ガイドの出迎えを受けバスに乗り込み、空港から約1時間の上海市中心部にある夕食会場「花園飯店」(オークラガーデンホテル上海)に到着。
このホテルはフランス租界時代に作られたアールデコ調の5☆ホテルとして知られていますが、このホテルの宿泊部長増田成さんは牧之原出身であり、また交流団メンバーのご子息であることから到着日の夕食会場にセッティングされました。
通常の中国旅行の場合、あまり美味しくない中華料理の洗礼を受けるのが通常ですが、今回はさすがオークラといえる美味しい中華料理で上海初日がスタートしました。
宿泊は牧之原市が「友好交流に関する覚書」を結ぶ静安区にある上海国際貴都大飯店。
牧之原市訪中団の常宿になっているホテルです。
3泊4日のスケジュールは結構タイトで、2日目はさっそく「第7回 日中書法(書道)交流展」が長寧区文化芸術センターで開幕し、上海市長寧区書法協会首席 朱濤氏をはじめとする200名を超える方々の出迎えを受け開幕式に参加。
双方代表挨拶に続くテープカットで開会した書道展は、牧之原市側作品41点を含む日中双方200点以上の力作が並び、来場した関係者には豪華なフルカラー作品集も配られる盛大な書道展でした。
午後は蘇州市郊外の湖畔に建つ朱濤首席の自宅に招かれ、敷地内に新設された交流展示館で日中双方の揮毫交流会が開かれました。中国の住宅のほとんどは高層マンションなのですが、富裕層の邸宅はさすがに湖畔の広大な敷地にあり、自宅脇からボートで湖の遊覧も出来るように作られています。
初めて訪れた団員の方々はその邸宅に驚嘆し、交流展示館に掲げられた大きな歓迎横断幕に感激することしきりでした。
揮毫交流会を終えて近くの一流ホテルバンケットで催された歓迎パーティーも、上海の書法家の皆さんはじめ地元名士の皆さんが一堂に会し、各テーブルで食事を取りながら交流する思い出に残る書道交流となりました。
続く3日目は友好交流の覚書を交わす静安区文化館での交流。
ホテルから徒歩2分にある文化センターは静安区の管理で、一般市民がいろいろな文化教室に通う憩いの場所となっています。
交流会は牧之原市文化協会の合唱部の皆さんによる歌や踊りで始まり、静安区の小学生の合唱、チャイナドレスに身を包んだモデルの様なスタイルの女性たちによる民族舞踊などが披露されました。
特に浴衣と法被を着て交流団の皆さんが歌い躍った「牧之原市歌」「東京五輪音頭」は静安区の参加者も客席で一緒に踊り始め、小さな小学生も一生懸命踊っていたのが印象に残りました。演目の披露が多かったためお互いが会話をする交流時間が少なかったのは少々残念ではありましたが、異文化交流において言葉は必要最低限あれば分かり合えるのかもしれません。
発表会の後は書道交流班とチャイナボタン作り体験班に分かれて約1時間の文化交流を楽しみました。因みにチャイナボタンとは中国の民族衣装「漢服」などで用いられる紐で組み上げて作るボタンのことです。
午後は交流団と政府団の2班に分かれ、交流団は上海市内観光で田子坊やバンド散策、上海雑技団を楽しみ、政府団は覚書を交わす静安区政府表敬訪問や静安区外事弁公室の皆さんの案内で区内の寺院や名所旧跡、ホテルなどを視察し今回の訪中の主な行事はすべて無事終了となりました。
今回、私も久しぶりに添乗員として33名の皆様と同行させていただきましたが、文化交流というのは言葉を超える力があるものだと再認識しました。
添乗員はツアーコンダクターと呼ばれる旅を演出する指揮者でありますが、今回は文化交流団の皆さんが一丸となり自ら演出し実践する素晴らしい交流で、添乗員の出番がなかったどころか、私自身皆さんに置いて行かれないようについて行くのが精一杯でした。
もちろん海外に行けば言葉が通じるに越したことはありませんが、書道、歌、踊りを通じ芽生える共通の認識なのでしょか、文化交流には国境はないと気づかされました。
牧之原市は静岡県でも珍しい独自のルートで国際交流を行っています。些細な出会いが継続することによって大きな交流に発展し、やがてそれは未来に繋がる平和への道筋となるに違いありません。
牧之原市が発信する国境なき交流のさらなる発展を期待しています。