遠州七不思議 桜ヶ池のお櫃納め(おひつおさめ)

お櫃納め若衆

お櫃納め若衆

底なし柄杓(ひしゃく)

底なし柄杓(ひしゃく)

遠州七不思議の一つに数えられ、静岡県無形文化財に指定される御前崎市佐倉地区の池宮神社に伝わる「お櫃(ひつ)納め」がお彼岸のお中日(22日秋分の日)に開催されました。

このお祭りは平安時代から850年続く奇祭として知られ、比叡山延暦寺の高僧「皇円阿闍梨上人(こうえんあじゃりしょうにん)」が衆生救済を願い1169年にこの桜ヶ池に入定し龍神になったとの伝説から毎年開かれています。

五穀豊穣と先祖供養で訪れる参拝者は「底なし柄杓(ひしゃく)」を持ち参拝します。

 

今回久しぶり(なんと50年ぶり)にお櫃納めを訪れてみると、台風が近づく雨模様のせいかコロナ対策による規模縮小のせいか、昔よりだいぶ参拝者も見物客も少なく寂しい祭りになっていました。

昔は全国各地から浄土宗(浄土宗開祖の法然は皇円阿闍梨上人の弟子で、このお櫃奉納を始めた)の信者がバスで訪れ、遠く離れたバス駐車場から列をなして参拝していました。参道には多くの露店が並び、お櫃納めは拝観料を支払わなければ見学できなかったことを覚えています。

神事始め

神事始め

六色仏旗の手漕ぎ船

六色仏旗の手漕ぎ船

しかし神事そのものは850年間変わらず続けられていて、神社青年部の男性13人が「ふんどし姿」で池に入り、ヒノキのお櫃(ひつ)に入った赤飯を抱え立ち泳ぎで池の真ん中までくるとクルクルと回したかと思うと池に沈めてゆきます。

沈めたお櫃はすぐに浮かぶことなく数日すると中の赤飯が空になって浮かんでくるといわれています。

時には池の底がつながっていると言われる長野県の諏訪湖で浮かぶこともあるとか。

約1時間半で40個のお櫃が沈められ神事は終了。平安の雅を象徴する笙(しょう)の雅楽が静かに流れ、お櫃か沈められる度に梵鐘が鳴らされる奇祭「桜が池 お櫃納め」は賑やかなお祭りではありませんが、平安時代から続く奇祭、遠州七不思議の一つとしてとして一度は見る価値があると思います。

毎年秋のお彼岸のお中日の午前10時~12時に行われます。当日は臨時駐車場(無料)もありむかしと違い拝観料も無料となっています。底なし柄杓は1本20円。

桜ヶ池(池宮神社)周辺は遠州七不思議と言われる伝説地がたくさんあるので日帰り旅行でお出かけするのもお薦めです。